「オペラ座の怪人」といえば劇団四季のミュージカルで知られていますが、
映画のほうも、CDのサントラ盤と、DVDの初回限定愛蔵版と、文庫本の
原作を私に買わせるくらい素晴らしい作品です。
19世紀パリのオペラ座。そこに住み着いている謎の男<ファントム>が
見初めたクリスティーヌに、決して姿を見せず秘密のレッスンを行い、
怪事件を起こしながらプリマドンナとして育てあげる。
そこへクリスティーヌの幼馴染のラウル(二枚目でお金持ちで家柄が良い)
が現れ、三角関係になり…というストーリーは有名ですね。
舞台では表現しきれないファントムの生い立ちなど、現在と過去が織り交ぜ
られた映像ならではのいい作りになっていて、キャラクターの背景が良く解り、
深く作品に入り込めるようになっています。
「醜い」だけで孤独を強いられた音楽の天才ファントムが、
若き歌姫クリスティーヌへいだく絶望的な愛。
完璧な男性ラウルを愛しながら、
ファントムの魅力から逃れられないクリスティーヌ。
そんなせつなく複雑な三角関係のなかで、少女から大人へと変化する
クリスティーヌの、少女的な繊細さと美しさ、その中で無意識に垣間見られる
「女」の部分。ヒロインを演じたエミー・ロッサムは16歳にもかかわらず、
完璧に「クリスティーヌ」を演じ、歌の表現力も声も本当に美しく、2人の男に
愛される魅力を申し分なく表現しています。
ファントム役のジェラルド・バトラーはセクシーでかっこよく、ロックを基盤とした
魔的な歌声で、音楽とクリスティーヌに向けた情熱、身を切られるような心の
痛み、深淵の悲しみを歌い上げる姿には惚れてしまいました。
装置・衣装はゴシックロマンの世界観が美しく、
仮面舞踏会のシーンは群舞の熱狂さえも美しく、
スワロフスキーの豪華シャンデリアは切なさを際立たせる美しさ。
アンドリュー・ロイド=ウェーバーの音楽は言葉よりも情緒的に物語を語り、
メロディーもアレンジも、吹き替えなしのキャストの歌声も、音楽のすべてが
幸福感で満たされる美しさです。
ミュージカル映画として、舞台的な演出効果の面白さと、映像的な繊細な
表現力をあわせ持ったこの映画は、舞台が大好きな私からのお勧めです。
美しさで満たされたこの映画を見たあと、私は悩みます。
クリスティーヌの立場になったら、
ファントムを選ぶのだろうか、それともラウルを選ぶのだろうか。
ファントムを選ぶような性格のクリスティーヌだったら、
ファントムには惚れてもらえないかもしれない。。。
悩みまでも贅沢に美しい映画です。
(ゆ)