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牧野詩織×井上仁一郎 フルート×クラシックギター

実施概要

いわての演奏家とつくる音楽会シリーズ(平成29年度 文化庁 劇場・音楽堂等活性化事業)

気軽に楽しめる、あたたかい雰囲気のコンサート

フルートとクラシックギターという組み合わせの魅力は何と言ってもその音色の豊かさではないでしょうか。

今回このアンサンブルの可能性を広げるため私たちが挑戦したのが、シューマンの『3つのロマンス』です。これはクラリネットとピアノのための作品なので、克服すべき“オリジナルの壁”がありました。元の調性はフルートにとっては低めの音域ですし、ピアノのパートは、音量・機動力など制約の多いギターでどのように再現するか工夫が必要でした。演奏を仕上げていく段階で最もお互いの意見を出し合った1曲です。哀愁漂う旋律から始まり、甘い恋の時代を経て大きな愛へと進むこの曲の新たな魅力をフルート×ギターの音色でお楽しみいただけると思います。

打って変わって、本公演メインの楽曲『タンゴの歴史』はアルゼンチンの作曲家ピアソラの作品です。これはフルート×ギターのオリジナル作品の中で最もポピュラーでファンも多く、タイトル通り「1900年~現代」までのタンゴの発展を表しています。

ここで聞かれるクラシックギターならではの面白い演奏方法として、楽器を叩いて太鼓のような音を出す「タンボーラ」、左指を滑らせて音を繋ぐ「グリッサンド」、和音を掻き鳴らす「ラスゲアード」、鐘の音の様な「ハーモニクス」などが登場します。ギターの特殊奏法は目で見ても大変興味深いものですので、是非小ホールの最前列でご覧いただきたいです。(牧野)

牧野詩織(フルート)

岩手県花巻市出身、在住。洗足学園音楽大学器楽科卒業、及び同大学院修了。

大学在学中、成績優秀者に贈られる特別選抜演奏者に認定され、優秀賞を受け卒業。

平成18年度卒業演奏会に出演、同年、大学推薦により、日本フルート協会主催第34回フルートデビューリサイタルに出演。

2010年岩手にUターンし、後進の指導にあたる傍ら、ソロ、室内楽、オーケストラなど多岐に渡り精力的に演奏活動を行っている。

2016年北上市・奥州市前沢区連携「いわての演奏家とつくる音楽会」事業のオーディションに合格、第2期登録アーティストとして活動中。

これまでにフルートを山崎眞行、佐久間由美子、名雪裕伸、関根雅裕の各氏に師事。

井上仁一郎(ギター)

福島県福島市出身。幼少からピアノやヴァイオリンを学び、16歳からクラシックギターを秋山智樹、原善伸、両氏に師事。日本大学芸術学部卒業後、ヨーロッパ各地で研鑚を積む。国内外のコンクールで優勝を含め多数の上位入賞を果たす。日本ギタリスト協会、神奈川ギター協会、全日本ギター協会各委員。教員免許を持つ数少ないギタリストのひとりとして音楽高校などで後進の指導も行っている。地元である福島と関東を中心に精力的に演奏活動を展開中。

http://jin1inoue.main.jp/

正統派クラシックから民族音楽まで。
幅広いレパートリーを持つフルート×クラシックギターの組み合わせ。
温かく包み込まれるような旋律や情熱的なリズムまで、さまざまな音楽の表情をご堪能ください。