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松竹大歌舞伎 近松座公演 近松座三十周年記念公演

実施概要

≪あらすじと見どころ≫

お目見得御挨拶(おめみえごあいさつ)
坂田藤十郎が公演各地の皆様にお目見得の御挨拶と、今回の近松座三十周年記念公演、そして上方歌舞伎にかける思いを申し上げる一幕です。

夕霧名残の正月(ゆうぎりなごりのしょうがつ)
先頃、はかなく世を去った扇屋夕霧の菩提を弔うために、藤屋伊左衛門が夕霧の墓へとやって来る。やがて伊左衛門の前に、在りし日の姿そのままの夕霧が現れて、ふたりはかつてのように連れ舞いに興じる。こうして夕霧と伊左衛門は、咲き乱れる桜の下で、時を過ごすものの…
初世坂田藤十郎が藤屋伊左衛門役を演じて大当りをとった『夕霧名残の正月』に着想を得て創られた華やかな舞踊劇で、伊左衛門と夕霧の情趣ある踊りがその見どころとなっている一幕です。

◆曽根崎心中(そねざきしんじゅう)
生玉神社に参詣に来た天満屋の遊女お初は、恋人の平野屋の手代徳兵衛と偶然出会う。実は、徳兵衛は店主から縁談の話を持ちかけられ、店主は徳兵衛の継母に金を渡したのだが、お初に惚れている徳兵衛は、継母から金を取り戻し、縁談も断った。しかし、徳兵衛はその金を友人の油屋九平次に頼まれ、貸してしまった。そこへ、折よく九平次が現れるので、徳兵衛は返済を迫るが、九平次は金を借りた覚えはないと言う。
騙されたと知った徳兵衛は、死んで身の潔白を明そうと、その夜、秘かに天満屋を訪れる。お初は、裲襠(うちかけ)の中に徳兵衛を隠し、縁下に忍び込ませる。そこへ九平次が現れ、徳兵衛の悪口を言い始める…
近松門左衛門の最初の世話物として有名なこの作品は、元禄十六(一七〇三)年、大坂天神森で実際に起こった心中事件を題材として初演されました。お初が徳兵衛に足先で死の覚悟を伝える天満屋の場や、美しいふたりの死への道行など、若者たちの悲劇を様式美で描き出す近松の不朽の名作をお楽しみ下さい。